耐震リフォーム~自宅で避難生活が送れるようにすることの大切さ
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投稿日:2024年2月28日
- テーマ: 耐震
能登半島地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
私が木造住宅の耐震の仕事に取り組むようになってから、17年が経とうとしています。その間、東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震と次々に巨大地震が日本を襲い、多くの被害に見舞われました。この大きな自然災害の下で私たちの仕事がいったいどれくらい役に立つのだろうかと打ちのめされるような気持ちになる時があります。耐震リフォームについて改めて考えてみるべき時なのかもしれません。
これまで耐震リフォームの提案をした際に、よく以下のようなことが話題に上りました。
「せっかく耐震リフォームをしても、地震はいつ来るか分からない。地震が来た時に家にいるかどうかは分からないじゃないですか」ということです。
私は、以前はこう答えていました。
「そうですね。これは確率の問題なのでしょうね。家にいる時間が長い人ほど耐震リフォームをする意味があるのでしょう。もちろんお金がかかることですから、耐震リフォームをするのか、地震が来たときには運命と思い、他のことにお金をかけるのかは、結局のところご自身で決めることだと思います」と。
でも今はそうは答えません。なぜなら、地震の時に命を守ることの大切さに加えて、命を長らえた後の避難生活のためにも自宅を耐震リフォームすることが大切だと思っているからです。
熊本の時もそうでした。今回の能登半島でもそうです。避難生活はあまりにも大変です。2~3日体育館で共同生活をするのならまだしも、これが10日となり1ヶ月となったら。今現在も避難生活を続けている方がいらっしゃることに本当に心が痛みます。
さてこの地震がひとたび東京で起こったらいったいどうなるのでしょうか。まず避難場所がパンクすることは間違いありません。練馬区の避難所は、練馬区民のために使えるのでしょうか。大火災が予想されている下町から多くの避難所難民がやってきたらどうするのでしょうか。コロナ禍でペットを飼う人が増えました。ペット連れで避難所に入れるでしょうか。動物アレルギーの人との共存ができるのでしょうか。東京で生活する人は、地方で生活する人に比べて互助という考え方に疎くなっていると思います。
避難所生活は想像を絶する状況になることでしょう。先日国会で、岸田首相に石破さんが避難所問題について問いただしていましたが、実際にはどうすることもできないというのが本音ではないでしょうか。大地震が繰り返されても状況はちっとも改善されているような気がしません。
耐震リフォームをしたとしても、家が壊れないという保証はありません。私は熊本地震の際にできた断層の状況を見ました。地面が2mくらいずれていました。この上に家が建っていたらひとたまりもないだろうと思いました。大きな自然災害の前では人間の力は本当にちっぽけです。
それでもやはり、できるだけ自宅で避難生活が送れるように準備しておくことは意味があると信じています。